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日曜日の散歩者 わすれられた台湾詩人たち

映画「日曜日の散歩者 わすれられた台湾詩人たち」は、2017年の8月19日に劇場公開されて現在でも上映中のホアン・ヤーリー監督によるドキュメンタリー映画になっております。

 

日本の軍部に支配されていた台湾の中で、日本語によって新たなる台湾文学の創作活動にチャレンジしていった人たちの思いを綿密にリサーチしていきます。

 

1930年代の西洋モダニズム文学に衝撃を受けた、若い世代の台湾詩人たちの生きざまが印象深かったです。日本の文壇を通して、シュールレアリスムやダダイズムをはじめとする新しいタイプの芸術に触れた瞬間を上手く捉えていました。

 

1920年代にパリに留学していたアメリカのフィッツジェラルドやヘミングウェイが、自分の国とのギャップに衝撃を受けたことを思い浮かべてしまいました。

 

母国語ではない日本語によって詩作を続けることを宿命づけられた、葛藤や苦悩には胸が痛みました。その一方では植民地時代の象徴とも言うべき日本語を、自らの芸術のために巧みに利用しているしたたかさもありました。

 

大正モダンを感じることができる1930年代の東京都内の街並みが、貴重な映像とともに映し出されていきます。

 

当時の日本の流行歌のメロディーが鳴り響いて、独特な世界観に引き込まれていきます。ふたつの凄惨な世界大戦の間に挟まれている、つかの間の休息が漂っている時代の風景には心温まるものがありました。

 

空間と時間を飛び越えて別の世界に誘われていくような、旅の気分を味わうことができました。

 

静かな詩の朗読と忠実な再現ドラマによって、当時の異様な言論の自由の弾圧が伝わってきました。

 

安保法案や共謀罪成立などの、今の日本の社会を覆いつくすムードとの不気味な繋がりがありました。武器ではなく言葉によって植民地支配と戦い抜いた、若者たちの姿には胸を打たれました。

 

映画だけでなく文学に興味を持っている方にも、是非とも見ていただきたい作品です。