気になったことを書いていきます

映画「立ち去った女」-ネタバレ&感想

映画「立ち去った女」は、2017年の10月14日に劇場公開されて現在でも上映中のラヴ・ディアス監督によるヒューマンドラマになっております。

第73回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝くなど、国内外問わず高く評価されている作品になります。

トルストイの短編小説からインスパイアされたストーリーになり、舞台をフィリピンに移して世相を反映させながら映像化されています。

人生の大切な時間を失った女性の行く末を、4時間近くをかけて描き切っていました。

無実の罪で30年余りも服役したホラシアの、出獄後の復讐への壮絶な執念には圧倒されました。

自らを陥れたかつての愛する人ロドリゴに対して、着実に追い詰めながら綿密な罠を仕掛けていきます。

その一方では復讐者としての一面だけではなく、母親・市民・女性といった多彩な表情も見せていきます。

作戦決行当日までの日常生活に散りばめられている、ありふれたエピソードや何気ない会話が忘れがたいです。

昼夜を問わずにエネルギッシュなフィリピンの街並みが、独特なカメラワークから映し出されていきます。

賑わう出店や屋台からベランダ越しに眺望する路地裏の風景まで、現実と虚構の合間を漂っているような怪しげな魅力がありました。

卵売りの男性やホームレスの女性をはじめとする、ヒロインに近づいてくる個性豊かなキャラクターたちが良かったです。

皆それぞれお金にがめつく強かですが、生き延びるために必死な言動や振る舞いが印象深かったです。

フィリピンの文化や歴史の中で受け継がれてきた、人間本来が持っているはずの生命力が伝わってきました。

モノクロームのシンプルな映像の中には、膨大な量の情報と凝縮されたメッセージが込められていました。

スクリーンの前で長時間の忍耐を強いられることになる観客に、クライマックスシーンで訪れるカタルシスが圧巻でした。

「ローザは密告された」でフィリピン映画にはまった方にはお勧めな作品です。