
映画「Biutifulビューティフル」-huluおすすめ映画
映画「Biutiful ビューティフル」は、2010年にスペインとメキシコの2か国で合同制作されて現在Huluで配信中のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督によるヒューマンドラマになっております。
スペインの第2の都市とも言われているバルセロナを舞台に設定して、自らの死期を悟った男の最期の生きざまが映し出されていきます。
不法移民をリアリティー溢れるタッチで描き出し、現実の社会へ向けて鋭いメッセージや批判が込められていました。
バルセロナの貧民地区の中にある、アフリカ大陸や中国からの移民・難民問題について考えさせられました。
主人公のウスバルが警官に賄賂を渡しつつ、過酷な労働者たちのおこぼれを貰うシーンが印象深かったです。
ウスバル自身の肉体も前立腺がんに侵されつつあり、1日1日を何とか凌いでいる様子が心に残りました。
夫と幼い子供たちから離れて、精神的にも肉体的にも傷付いた日々を送っているウスバルの妻には胸が痛みました。
ウスバルを演じているハビエル・バルデムからは、残された時間を如何にして過ごすのかが伝わってきました。
ウスバルの妻に扮しているマリセル・アルバレスの、陰のある表情と静かな演技も良かったです。
黒澤明監督の「生きる」をはじめとする、余命をテーマに扱った作品は涙なしには見ることができないという方にはお勧めです。
余命2か月とオープニングで宣告しつつも、イニャリトゥ監督特有の過去と現在を行き来しながら展開していくスタイルが味わい深かったです。
死を間近にしながらも、最後まで人間的に変わることのない主人公の不器用な生きざまには一抹の寂しさがありました。
物語の舞台になるスラム街から眺望することができる、サグラダファミリアの尖塔には忘れがたいものがありました。
1882年から着工が始まって現在でも完成することのない聖堂と、限られた人生の中で思い描いていた夢を成し遂げることができない人たちとの間に奇妙な繋がりを感じました。