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映画「鉱 ARAGANE」-ネタバレ&感想

87点

映画「鉱 ARAGANE」は、2017年の10月21日に劇場公開されて現在でも上映中の小田切香監督によるドキュメンタリー映画になっております。

ハンガリー映画界をリードし続けてきた巨匠のタル・ベーラ監督の設立した映画学校で、3年間学んだ若手作家による作品になります。

ヨーロッパの南東部にあるバルカン半島に立地する、ボスニアヘルツェゴビナの街並みが映し出されていきます。首都サラエボの近郊のブレザ炭鉱へ、監督自身がカメラを抱えて単身乗り込んでいくのが勇ましかったです。

危険な現場で黙々と働き続ける労働者の様子を、独特なカメラワークから捉えていきます。

完全な闇に支配されている内部をわずかに照らし出す、ヘッドライトのほのかな灯りが幻想的でした。

全編を通して薄暗い中で点滅する光を見ていると、望遠鏡を駆使して天体観測を行っているような奇妙な味わいがありました。

地下空間の一面を構成する、ごつごつとした黒光りする天井や足元が印象深かったです。

採掘用の削岩機や歯車がけたたましい音を立てて、つるはしが岩を砕く音と混じり合っていきます。

耳をつんざくような爆音にも、いつしかインダストリアルミュージックを聞いているような不思議な愛着が湧いてきます。

ラストに登場するリフトのロープを使って、巨大な坑道へと降りていくシーンの解放感が圧巻でした。

炭鉱夫たちは多くを語ることなく、製作者サイドもそれぞれのバックグラウンドを深く掘り下げることもありません。

如何にしてここまでたどり着き何のために働いているのかは、この作品を見た観客が押して図るしかないようです。

炭鉱労働者の過酷な現状を告発することで、今の時代に世界各国が抱えている格差社会に対するメッセージや批判に繋がるものがありました。

遠い国に生きている人たちに無関心になることなく、身近な問題として考えさせられました。毎日の仕事に疲れ切ってしまった方や、働くことに対して疑問を抱いている人に見て欲しいです。